ニジェールでは挨拶がすごく長い。一言ではすまない。それは、私は好きな所でもある。でも、時々もう、いいよー、私にかまわないで!と思ってしまうことがある。例えば朝、結構急いでいるのに、「調子はどうだ」「家族はどうだ」「仕事はどうだ」「この2、3日はどうだ」「暑いか」とどんどん挨拶が続く。調子が悪くても、仕事がうまくいってなくても、2,3日元気じゃなくても、一応「バニサマイワラ(元気だよ)」と答えるのが常識らしい。急いでいる時、後でまた会うし、同じ挨拶して、同じ答えを言うんだから…もう今はいいでしょと思って、軽く挨拶して通り過ぎたりする。また、昼休みになり、すごくお腹がすいて家に早く帰りたい。だけどあちこちから声をかけられ、挨拶がまた繰り広げられる。さらに暑いのに寄ってしゃべっていけと言われる。疲れてるし早く帰りたいんだよーと思い、軽く挨拶して通り過ぎる。すると次の日、「昨日はさっと通り過ぎたよね。どうしてだ。」「どうしておしゃべりしていかないのか。」と追求してくる。私は「急いでいたから」「疲れてたから」と言うしかない。その辺、日本人のように察するということはない。それにニジェール人は朝、日本人のように急がない。駆け足で通勤、登校している人なんていない。働き盛りの男性達が朝からベンチや地面に座ってしゃべっている光景をよく目にする。だから「急いでいる」ということは理解できないのかもしれない。
また、授業中でも挨拶してくる。まさか、授業に割り込んで挨拶してくると思わないので、他の人にしているのだろうなと思って体育の授業を続けていたら、後で「私を無視したでしょ。」とすごくムッとされた。そういえばニジェールの人は、私が誰かとしゃべっていても関係なしに横から入り、長い挨拶をしてくることが多い。常識が違うよなーとあらためて思う。どんな状況でもとにかく挨拶あっての国である。日本の挨拶が電車が通過するような長さとすると、ニジェールの挨拶はゆっくり朝のお茶を味わうような挨拶である。
学校の道徳で「挨拶の大切さ」をやっていたけど、ゆとりのある挨拶までは考えていなかった。私もどんなに疲れていてもお腹がすいていても挨拶が味わえるようないつでもゆとりのある人でありたいなと思う。
※写真は忙しい朝もゆっくりとゆとりある挨拶を毎日するおじさん